楽しむコンセプトづくり

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■コンセプトとはイメージ共有
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コンセプトとは
全体アイデアを象徴する言葉。

言い換えれば、
誰にとっても
わかりやすくなる
ということ。

ですが、
わかりやすいというと、
意味がわかりやすい
と思われがちです。

重要なのは、
イメージが共有される
ということ。

とはいうものの
イメージと言われても
ぼんやりしているし、
余計わからなくなりそう。

そこで、今回は
楽しむコンセプトづくり
についてお話しします。

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■あなたが悪いんでしょ!
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「あなたが悪いんでしょ!」

妻からこっぴどく
怒られました。

というのも、
車(スズキジムニーJB23)を
壊してしまったからです。

3月中旬に車検期限だったので
3月頭に車屋に持っていくと

「これでは、車検通らないです」

と言われました。

店の人に案内されて
工場で持ち上げられた
車の底を見ると、
サビで何ヵ所も
穴が開いていました。

この状態では
修理も修理代がかさむだけで
無駄だといいます。

私の住んでいるのは
雪の多い東北地方です。

雪が降ること自体は
それほど問題ではありません。

問題なのは雪ではなく、
融雪剤です。

道を凍結させないために
車をサビさせる融雪剤が
大量に撒かれるのです。

「今の時代、融雪剤ぐらい
サビないようになんとかしろ」

と思うのですが、現状、
融雪剤は鉄をサビやすくする
成分でできています。

それになんといっても
自動車会社も
車の底にサビる素材を使うのは
おかしいです。

素材が変えられないなら
外気に当たる部分を
サビにくく加工するべきです。

もっとも、
若者が自動車に乗らない時代、

サビない車を開発してしまうと
さらに自動車が売れなくなり
自らの首を絞めてしまいます。

むしろ、サビで
自動車を買い替えるように
結託しているのかもしれません。

しかし、
そんなことを考えていたのは
東北で私だけでした。

東北では、
自動車のサビ問題は当たり前で

知り合いからも
「防錆剤、塗った方がいいよ」
と言われていました。

なのに、長年の私の管理が
悪かったせいもあって、

ついには、
車の底についたまま放置した
融雪剤にやられました。

そんなことで
大好きなジムニーだったのですが
仕方がありません。

下取りに出して
新車を買うことにしました。

その過程で興味を持ったのが
軽自動車のコンセプトづくりです。

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■遊べる軽
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新車の選択は簡単でした。

スズキ アルト F 5MTです。
(3BA-HA36S)

試乗もしないで決めました。

理由は、資金の問題で
スズキアルト一択で
他を選ぶ余地が
なかったからです。

(アルトも前々から
乗ってみたかったので
丁度よかったです)

それはいいとして、

新車が決まってから
遅ればせながら
軽自動車のことを
調べ始めるようになりました。

軽自動車はサイズ、排気量に
制限があります。

加えて、経費削減のため
同じ会社の他の軽自動車車種との
共通部品、共通設計部分も多い。

ですから、車種の違いは
コンセプトに基づいた
味付けの違いよって
性格づけられます。

それで調べていてわかったのは、
コンセプトが定まっている車ほど
面白いということ。

例えば、
スズキハスラーの場合、

「遊べる軽」

です。

スズキ社内では
他のコンセプトコピーを
使っていたかもしれません。

しかし、カタログに書かれた
「遊べる軽」のコピーを見て
「これは売れる」
と思いました。

私は調べるまで
軽自動車について
知らなかったし、

なおかつ、
自動車に詳しくもなく、
興味もそれほど
ありませんでした。

そんな私にも
自動車に乗って
遊びに行く場所や状況の
イメージが目に浮かびました。

移動道具である
自動車だけの事ではなく、

生活にその自動車が
新しく加わった時のイメージが
見えたのです。

コンセプトとは
アイデアの方向です。

コンセプトのイメージとは
設計図ではないので
ピンポイントで「これ」と
指し示すものではありません。

具体的な「これ」といった
形になる細部に落とし込む前の
おおもと世界像なのです。

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■走る無印良品
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youtubeはすごいです。

テレビの自動車の紹介番組
「クルマでいこう!」が
そのまま上げられています。

キャスターは
岡崎五郎さん、
藤島知子さんの二人。

この番組で印象的だったのは
ダイハツトコットの回でした。

最後の評価の場面で
岡崎さんはトコットのことを

「走る無印良品」

と評したのです。

私は「なるほど」と思いました。

無印良品のイメージは
持たない生活といった
暮らし全般への提案です。

無印良品で
暮らしすべてをそろえれば、
デザインレスで
シンプルさを追求した
機能美生活が実現します。

無印良品や
ユニクロが
これだけもてはやされるのは、

無駄なモノを
肩から降ろしたい。

でも、
安いだけではなく
センスある美しい生活がしたい。

といった
ニーズがあるからです。

そんな人たちが
選ぶ車って、
どんな車でしょうか?

思うに
ガチャガチャしたデザインではなく
主張しない無機質な自動車でしょう。

ダイハツの開発者によると
トコットはターゲットである
女性へのインタビューや調査から
外装、内装、性能、装備など
決めたそうです。

つまり、
データを積み上げて
出来た車。

なのですが、
女性向けというのに
違和感を感じます。

というのも
私も飾り立てるデザインより
造形美を感じる自動車に
乗りたいからです。

つまり、
コンセプトとは
自動車といった
単体そのものではありません。

実現したい世界観です。

自動車の場合も
生活の一部であり
男女の違いではなく
どんな生活をしたいかによって
選ばれます。

もし、トコットを
「走る無印良品」を
コンセプトとすれば、

性別から離れて
本来の選択の主軸である
生活観に基づいたターゲットに
なるでしょう。

シンプル種族のような
男女を越えた
ミニマリズム志向の層を
捉まえられるかもしれません。

人間はどうしても
自分を中心にして物事を判断します。

自分の選択は普通だと思いがちですが、
他人は他人の世界観があります。

といっても、
同じ傾向の人たちがいて、

その人たちの
共通するの世界観を
イメージづくるのが
コンセプトなのです。

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■コンセプトは何ですか?
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「クルマでいこう!」の
岡崎五郎さん、藤島知子さん
のキャスターである二人。

二人ともモータージャーナリスト
なのですが、
二人の違いが面白いです。

岡崎さんは
コンセプトから
自動車が作られるところに
興味があります。

一方、藤島さんは
自動車そのものへの
興味が強いようです。

ですから、岡崎さんは
メーカーの開発者に
インタビューするとき
まず最初に聞くのは、

「コンセプトは何ですか?」

です。

それに対して
岡崎さんとメーカー開発者の
やり取りを見ていて
時々ショックを受けることがあります。

メーカーの開発責任者なのに
ハッキリ言えるときと
ハッキリ言えないときが
あるからです。

長々とした説明はするのですが、
「遊べる軽」のような
一言で表す人は少ないです。

何百万円もするものの
開発責任者が一言で
商品を説明できない。

そして、
そういうものが売られている。

特に後継開発車となると
「前より性能を上げました」
のようなことばかりを
いうこともあります。

作っている人も
コンセプトが明確であることが
他社や他商品との差別化になり

どういう生活の中に
取り入れられるのか
見えなくなっているようです。

すべての車種を実際に乗って
検証したわけではないので、
掲げているコンセプト通りに
車が仕上がっているのかは
わかりません。

ですが、開発者がコンセプトを
言えない車は、

紹介レビューを見ていても
買いたくならないし、
乗っても面白くなさそうです。

ホッとしたのが
私が購入したアルトの開発者は
「最高の実用車」を目指したと
岡崎さんに答えていました。

アルトを注文した後
この番組を見ていたので
とりあえず開発者が
コンセプトを言えたことに
一安心しました。

もし言えなかったら
ただ安いだけの軽自動車だった
と思うからです。

もちろん、開発者のイメージする
「最高の実用車」はわかりませんし、
私の思う「最高の実用車」とは
違うはずです。

でも、それでもいいのです。

開発者に
一言で言い表せる世界観があり、

それに向かって
開発された自動車であるだけで
いい車である期待ができます。

特にうれしかったのは
「実用車」というキーワードです。

あなたにはどうかわかりませんが、
「実用車」という世界観イメージが
私にはグサりと刺さりました。

「スポーツカー」
「セダン」
「クーペ」
「ワゴン」
「SUV」

など、自動車の形式の種類は
様々あります。

でも、それより
「実用車」の言葉の一言に

気を遣わず
楽しく普段使いできる自動車との
私の新しい生活が見えてきました。

たった一言、
顧客の見たい夢を表す
コンセプト。

それだけで
売り手、買い手の
イメージの共有はできるのです。

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■コンセプトはパズル
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コンセプトとは、
新しい世界観イメージです。

前述したアルトのコンセプトは
「最高の実用車」でした。

しかし、
「最高」というのは
今の延長線上であり、
新しさに欠けます。

新しいコンセプトを作るためには
延長線上ではなく
新しいイメージの組み合わせが
必要です。

例えば、ハスラーの
「遊べる軽」にならって、

「楽しめる実用車」ぐらい
言ってくれたら、

開発者も購入者も
実用車だけではない
新しいイメージが
湧いたのではないでしょうか?

というのは、
コンセプトの世界観の中にいるのは
購入者だけではないからです。

私の住んでいるところでは、
アルトは郵便配達車としても
使われていますし、
宅配業者にも使われる商業車です。

言葉通り、
実用車として使われています。

ところが、デザインがいいので
町で走っていると
風景がよくなってくるのです。

ジムニーに乗っていた時も
対向車にアルトが来ると
「おっ、アルトだ」
と思います。

コンセプトとは、
世界観ですので
購入者と自動車だけの限定された
閉じた世界観ではありません。

コンセプトは
映像として見えるすべての世界です。

私の場合でいえば、
妻と出かける時、
助手席に妻は座っているし、

出かける場所の風景、
道路の込み具合、

自動車から降りた後の雑踏、

行った先でコーヒーを飲む感覚、

そのすべてのイメージに
新しい自動車が関わり登場します。

私の世界観の中で
いくらお金を持っていても
ハマーや
フェラーリは登場しません。

登場するとすれば
小さくて小回りが利き
ヨーロッパの小さな
デザインの面白い車です。

コンセプトは
世界観パズルで
ピースがハマるかが
重要なのです。

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■新しいコンセプトは楽しい
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コンセプトは
新しい世界の映像です。

だから、想像すると
楽しくてしかたなくなります。

つまり、現状とは違う
期待する世界です。

現在、どの自動車も
基本性能が高いため
不便することはありません。

速度も100キロ以上出ますし、
ほとんどがアスファルトで
整備された道で使われます。

逆に言えば、
いくら高性能の自動車でも
日常使いでは、
その性能を使いきれないので
結果的に同じ自動車なのです。

だからと言って
皆が同じ車を買うかと言えば
そうではありません。

それはそれぞれの世界観が
違うからです。

つまり、
目的は動機にならないのです。

私のように気に入ってる車が
壊れたから、仕方なく
新しい車を買うなんて
楽しいとは言えないです。

本来は
「新しい車が欲しいなー」
と思うのは、

新しい生活を始めたいとき
になります。

欲している生活イメージに
変化が生じ、それに伴い
生活の重要な一部を担う車が
合わなくなってくるからです。

引っ越しと同じです。

前述のトコットのように
現在のアンケートデータから
積み上げていくと、

現在の不満点をあぶりだすには
有効でしょう。

しかし、これから
ワクワクするかと言えば
そうではありません。

それは、新しい生活を
イメージさせないからです。

コンセプトとは
新しいイメージ共有です。

私は現在57歳で
これまでと違う
これからの新しい生活の
イメージがあります。

私のこれからのイメージは、
すべての人に
当てはまるものではありません。

話せば、
「それ、いいね」
という人も

「なんじゃ、それ」
という人もいるでしょう。

重要なのは、
すべての人に共有しなくても
いいということなのです。

同じ夢を持てる特定の人たち
ということですが、
その規模によって
商売になるならないはあります。

広い範囲に渡れば
現実から逃げられず
夢は薄まります。

狭ければ狭いほど
楽しい夢の世界にあこがれ、
行動する動機になります。

特定の層に刺さる夢を
イメージとして
集約する一言が
コンセプトになるのです。

もし、今の私なら
「サビない車」と言われると
ワクワクが止まらなくなります。

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