「宮崎勤の部屋」と「あなたの部屋」と「わたしたち」~依存ループのトリガーは「部屋」にあり


 
 
「こんなことが好きなの?」
 
 
あなたは他人の部屋に遊びに行ったとき
驚くことがありませんか?

 
 
そこには、
意外な趣味のものが置かれていたりするものです。
 
 
例えば、
 
 
小さなコケシがたくさんあるので
「たくさんありますね」と聞くと
「旅行先で見つけると買ってくるの」と
答えが返ってきます。
 
 
そんなに行動的に見えなかった人が
頻繁に旅行に行っていたことを初めて知ります。
 
 
「そんな人だったんだ」
 
 
そのことでその人に対する見方も変わったり
「そういえば、気を利かせていつも動いているよな」と
見逃していたことを再発見することもあります。
 
 
部屋は、その人が興味を持っているものを
取りやすいように置かれているわけですから
言い換えれば、今のその人の内面が置かれています。
 
 
部屋とは欲望が野ざらしになっている場所なのです。
 
 
今回は、対象は違えど
執着の構造は同じであることをお話します。
 
 
そして、それはループすることで
加速的な欲望のエネルギーを持つことになります。
 
 
部屋といえば、あなたは宮崎勤を知っていますか?
彼は1980年代の連続殺人犯です。
 
 
事件の内容について言及することができないので
(裁判においてもわからない部分が多いです。)
興味があれば調べてください。
 
 
その事件が起こったとき
それまでと異質の感覚を感じたのと同時に
私たち世代からの犯罪であると感じました。
 
 
私はそれを境に犯罪が変わったと思います。
 
 
彼が犯罪を変えたのではなく
人々の変化を彼が体現して見せたのです。
 
 
犯罪とはその時代を極端にデフォルメしたもので、
いわば似顔絵みたいなものです。
 
 
それまでにあった殺人は
ある目的のため邪魔だから、
金品(保険金も含む)を奪うため、
憎悪からなどが原因でした。
 
 
彼はそれらと違うことを動機として
殺人を犯しました。
 
 
それは、ファンタジーです。
 
 
彼自身の「自分の世界」と「現実」を
同調させる欲望の捉えられたのです。
 
 
彼の世界とはアイドル、同人誌漫画、アニメです。
 
 
当時パソコンが普及していなかったので
ビデオテープやカセットテープなどに
録画録音して彼は部屋に収集していました。
 
 
そのファンタジーの世界に
現実の人間も収集物のひとつとして
取り込むことでした。
 
 
彼は自分の犯罪をビデオに納めて収集していました。
 
 
そして、好きなアニメと同じように
ビデオテープを並べていたのです。
 
 
事件当時、報道番組で彼の部屋が映されました。
 
 
その時、私は身震いして驚きました。
 
 
なぜなら、「同じ」部屋だったからです。
 
 
彼の部屋はそのアイドル、同人誌漫画、
アニメ関連のもので埋め尽くされていました。
 
 
まさに「まんだらけ」です。
 
 
私の場合、レコードでした。
 
 
(レコードというのはCDが開発される前の
音楽が記録されていた30センチぐらいの円盤の
媒体です。)
 
 
レコードだらけの部屋、それが私の世界でした。
 
 
その時考えていたことは
中心となる好きなジャンルであるロック、
ブラックミュージックはありましたが、
「世界中のあらゆる音楽を知りたい」だったのです。
 
 
FM放送で、
レアな音楽がかかる「サウンドストリート」を
録音したり
(火曜日は坂本龍一さんがホストでした。)、
 
 
FENのブラックミュージックランキング番組の
気に入った曲目をメモして、
輸入レコード店に行き、レコードを買っていました。
 
 
それで、レコード中、一曲しかよくないものなどは
「ハズレ」なのですが、
たまに「こんな音楽があるのか?」と
「LP大当たり」もありました。
 
 
ガリガリ君で「あたり」が出ると
「また買おうかな」と思いますよね。
 
 
その「大当たり」の感覚に偏執的になっていったのです。
 
 
俗に言うマニアあるいはオタクです。
 
 
紙のジャケットの中から
半透明の下が丸型のビニールに入った
レコードを中央のクレジットの書かれた紙と
端だけを持って出します。
 
 
半透明のビニールから出すときの
「カサカサ」とした音も私には音楽です。
(輸入盤は紙袋でした)
 
 
手に持つと塩化ビニール独特の薬品くさい香りが
立ち上がります。
レコードが新しければ、新しいほどその香りは強いです。
 
 
レコードの溝には油が滲んだような
模様が現れていて、傾けるとその模様が
盤の上を移動します。
 
 
パイオニアのレコードプレーヤーの透明のふたを
開けるとある角度になると閉まらないように
固定されます。
 
 
片手に持っていたレコードを
両手の中でこねるようにすると
A面、B面が交互に回ります。
 
 
聴きたい面を確かめて
レコードの中央の穴を
ターンテーブルの中央に合わせて乗せます。
 
 
ナガオカのレコードクリーナーで
ノイズが出ないようにホコリをとります。
 
 
針のついたアームを持ち上げると
自動的にターンテーブルは回り始め
周りを見ると
33&1/3のマークがとまって見えます。
 
 
そして、回るレコードの好きな曲の前の隙間の溝に
針を落とします。
 
 
すると、スピーカーから音楽が流れ始めるのです。
 
 
それを右と左の出てくる音の違いを確かめながら
ビクターの犬のように聴くのです。
 
 
やがて、マニアの心理はどれでも同じなのですが、
「これがわかるのは私だけだ」を
感じるようになります。
 
 
しかも
「私だけが知っている」快感に浸ることが出来ました。
 
 
店で売っているものなのに
「こんなの聴いているのは私だけだ。」
リズムに酔いながら体を揺らせます。
 
 
今の人には音楽はスマホの着信音や
電車の乗り降りを促すものだったり
踏み切りの警告音みたいなものです。
 
 
ただの「音」です。
 
 
私には、私の人生に影響をあたえる「音楽」でした。
 
 
私の世代は音楽を尊いものだという
敬意を感じています。
 
 
私にはそれが普通のことでしたし、
むしろ、意義あることだと思っていました。
 
 
そんな多少オタクだったかもしれませんでしたが、
普通で意義ある生活をしていると思っていた私が
その彼の部屋を見たとき「同じ」に見えたのです。
 
 
アイドル、同人誌漫画、アニメだったのが、
レコードに変わっただけです。
 
 
そして、何より他の人から見れば私の部屋は
「宮崎勤の部屋」に見えることに衝撃を受けました。
 
 
もしあなたがAKBが好きなら
「私の人生に影響をあたえる「AKB」でした。」と
いうはずです。
 
 
それはプロレスかもしれませんし、
落語かもしれません。
 
 
スニーカーでも鉄道でもカメラでも同じです。
 
 
ところが、その後の報道では
彼を「特別の存在」にしたいようでした。
 
 
その取材していた人たちは前の世代の人たちです。
 
 
その世代にとっては
理解できない彼を「例外」としたかったのです。
 
 
本来は彼を時代のサンプルとして
分析しなければならなかったのですが、
例外とされたため、それもされませんでした。
 
 
確かに、犯罪まで起こしているので
ある一線を飛び越えてしまったのですが、
私たち世代に共通な何かを彼に感じます。
 
 
それは、消費行動の中でのループです。
 
 
私の経験ですが、1枚レコードを買って
床に並べると次が欲しくなります。
 
 
(そのときにはすでに床しか場所がありませんでした。
そこにダンボールにレコードを入れて置いていました。)
 
 
「店に飾ってあったトッドラングレン、
1万かー
あれ欲しいなー」
 
 
広告によって欲望のスイッチを気づかされ
部屋にある「獲物」を見ることで
快感を感じ、興奮し、
次第に自分でそのスイッチを押すようになるのです。
 
 
それが依存のループです。
 
 
この話を聞いてから
あなたの部屋の入り口に立ち
3分間、部屋を眺めてください。
 
 
あなた部屋に訪れた人は何ていうでしょうか?
 
 
「コケシたくさんありますね。」ですか?
 
 
部屋とは欲望が野ざらしになっている場所です。
 
 
もしそれでわからなければ
第二の部屋であるパソコンを見てください。
ハードディスクに多くを占める「データ」は何ですか?
 
 
そして、あなた同様、
あなたの顧客も「同じ」原理で動いています。
 
 
ここで重要なことは
「何に」はそれぞれですが、
同じ依存ループの構造の中に
私たち世代はいるということです。
 
 
では、どうすればいいのでしょう?
それはまた次回にお話します。
 
 
(余談ですが、
役に立たないだろうと思っていたその音楽の知識が
今、多少役に立っています。
 
 
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