裏ベネフィットにそそられない?

「見た目で判断されたくない」

この前、ネットニュースを見ていると
変なことが話題になっていました。

マジメな格好はしたくない。
けれど、マジメな人間なので
見た目で判断されたくない

というのです。

マジメに見られたければ
マジメな格好をすればいいのに
不真面目な格好をして
マジメに見られたい。

本人の中で
言葉になっている場合、
言葉にならない場合、

つまり
本人もわかってしている場合と
わかっていない場合がありますが
心理には裏の欲求があります。

「見た目が9割」と言われるように
現在、ちょっとしたオシャレな店では、
店員が男ならイケメン、
女性ならカワイイ人が多いです。

というのも、
ただの労働力ではなく
その店のイメージとして
使われ始めたからにほかなりません。

たまたまそうなのではなく
わざわざ面接で選ばれた人たちなのです。

きれいな男性のことを
昔はハンサム、二枚目と言っていました。

個人的にハンサムという表現が好きです。

ハンサムという
言葉の響きのくすぐったさ。

「アランドロンみたいなハンサム」

女性には感じないのですが
なぜかカッコいい男性には、
含み笑いが起きてしまいます。

それは、ともかく、

フレッシュでさわやかな印象の
若者をそろえれば、お客受けがいい。

(フレッシュも最近言わないですね)

そういえば、
昔は看板娘なんていうのも
ありました。

ここらでやめましょう)

その店員を目当てにリピートしてくれる。

となれば、もちろん、
「見た目で選んでいます」なんて
差別になりますので

表立って言うことなどありませんが、
雇う方も背に腹は代えられません。

誰がやっても同じ職場であれば
当然そういう人たちが選ばれます。

いわば、
ちょっとしたアイドル職場ですから
人不足のこのご時世で
さらに応募者が集まる相乗効果もあります。

(最近はSNSのフォロアーが
たくさんいると就職で優遇されるところも
出始めています)

ですから、
私たちのようなむさくるしい輩は
面接に行っても
除外されるでしょう。

しかし、本心を言えば
「そんなところ採用されたくない。
落として欲しい」
と思いませんか?

例えば、スターバックスだとしましょう。

(最近、トレンディーなところに
行っていないので
スターバックスぐらいしか
思いつきませんでした)

まわりは韓国アイドル風
背の高いさわやかなハンサムばかりで
店員同士の会話もスタイリッシュ。

今にも
「アニョハセヨ」
といいそうです。

カップにハートウォームな英単語を
メッセージとして書いて渡すと
お客さんに感謝され喜ばれる。

それにひきかえ、
ドンくさい私たちが持っていくと
明らかに期待外れなイヤーな顔をされる。

そういう連中は慣れているので

「写真、一緒に撮ってください」
と言われると
「いいですよ」と
下心なし無心スマイルで応じます。

しかも、その「いいですよ」に
嫌味がありません。

私だったら
「(私で)いいんですか?」
と聞き返してしまいます。

その「いいんですか?」の
卑下ぐあいがいやらしい。

私には無心スマイルはできません。

「そもそも面接行かないでしょう。
そんなとこ」

まあ、そうなのですが、

では、
何十年か前の就職の時は
どうでしたか?

どこで住所を調べたのか
百科事典のような会社紹介本の束が
小包で送られてきて驚きました。

それで調べて、
エントリーシートまで書き
希望の会社に面接に行ったのに

なぜか「落として欲しい」と
思ったことはなかったでしょうか?

「落として欲しい」と思ったことが
いいことか悪いことかは
別の話としますが、

表面と内心が食い違っていることが
往々にしてあるのです。

そして、その食い違い自体に
本人が気が付いていないことが
多いのです。

ですから、思うというより
違和感など感覚かも知れません。

例えば、字を上手になりたい。
でも、練習したくない。

痩せたい。
でも、食べたい。

など理屈に合いませんが
誰でも経験のある感覚です。

字をうまくなるには
練習しなければならないし、

痩せるためには
食事を制限するなり
変えるなりしなければなりません。

なのに、目的に対して
逆のベクトルが同居します。

「やりたい」と
「したくない」です。

つまり、これは、

顧客が何かするためには
表ベネフィットと
裏ベネフィットが
必要であることを意味します。

*ベネフィットとは、
マーケティング用語で
心理面を含んだメリットのこと。

ですから、その二つの
逆ベクトルに対して
ささやくことが重要になります。

こんな感じのコピーや
書籍の題名を見たことはありませんか?

「3つのポイントを知るだけで
字はうまくなる」

「いつもの食事を一品置き換えるだけで
無理なく痩せる!」

これらは逆ベクトルのことを
うまくひとつの文章につなげて
顧客に飲み込ませています。

だから、顧客にとっては
違和感がありません。

それでいて、
「それなら、私も」
と思わせています。

それは、
逆ベクトルのベネフィットを
解決する説得をされているからです。

では、この心理状況の根本原因とは
何なのでしょうか?

それは、行動には
2つの面があるということなのです。

行動とは、
現状で何かすると
結果として現状が変化します。

体験前、体験後として
考えるとわかりやすいので
すこし思い浮かべてください。

現状(体験前)
ー>行動する
ー>結果(体験後)

まず、表ベネフィット。

これはそのまま言葉通り
「得する」こと。

だから、
「やりたい」「欲しい」
となります。

「字がうまくなったら
取引先との会議で
自信をもってホワイトボードに
問題点とか、提案とか書いてみたい。

お客も私の意見にうなずいて
『するどいねー』とか言われて、

自分の書いた問題点に
赤ペンのフタを開け閉めしながら
下線を書いたりして。

重要なところは
青ペンに持ち替えて
丸つけて。

『今回のホワイトボードのレジュメ、
印刷しますのでお持ちください』
とか言っちゃって、

ホワイトボードの下にある
印刷ボタンを押すと、
時間が経つと字が薄くなる
丸まった感熱紙が出てきて

『少々お待ちください。
ただ今コピーしてきますので。

小林さん、クライアントの人数分
コピーお願いします』

いいだろうなー」

字が下手な人にとっては、
上手な人がそう見えるので
きれいな字は表ベネフィットです。

だから、ベネフィットが
「欲しい」心理に働きます。

次に、裏ベネフィット。

これは現状から
逃げるためのメリットです。

この場合でいえば
「字が汚い私」から
「字がきれいな私」に逃げたいのです。

取引先との会議では、
ホワイトボードが苦手。

仕方ないので書き始めると

「読めないからもう少し大きく書いて
ホワイトボード広いんだから
もっと真ん中書いていいでしょう」

書いているうちに語尾が下がってきて、

「どこ行っちゃうの。
ホワイトボードからおっこっちゃうよ」

おまけに漢字の送り仮名間違えてしまって
あわてて手で消したら
ホワイトボードが真っ黒。

手の小指の下も真っ黒で
机の上に手を置いたら
客先の机なのに汚してしまい
見ていない間にハンカチで
拭いたら広げてしまって
大汗をかいてしまう。

ホワイトボードを見ると
小学生のクラス会の打ち合わせのような
字がかれこれ1時間も
そのまま野ざらしになっている。

自分の会社メンバーだけならまだしも
相手の会社の人が
マジメな顔をして見ているのを見ると
泣きたくなってくる。

「もういや!
もっと字がうまければ。
こんな自分から逃げたい」

こんな状態では、
説明するべくもなく
ベネフィットは
「逃げたい」心理に働きます。

この「欲しい」と「逃げたい」を
言い換えるとするなら、

●するために行動する。
●しないために行動する。

になります。

人間はあやふやな生き物なので
この二つがなければ
極端になり過ぎてしまうのです。

例えば、友人も多く彼女もいて、
人といるのが好きという人が
いるとします。

ですが、だからといって
「たまに一人になりたい」と
言っても矛盾にはなりません。

それは、
「比較的」人といるのが好きだ
ということであり、

あくまでも
「どちらかというと」という
傾向であるからです。

字を上手になりたい。
でも、練習したくない。

この場合も
どちらかというと字がうまくなりたい。

しかし、練習しなければ
字がうまくならないのであれば
字がうまくならなくてもいい。

そのあやふやな心理にいます。

そこに裏ベネフィットが働き
「逃げなければならない」と
その場所に居心地の悪さを感じれば
あるいは危機感を感じれば
あわてて逃げ始めるのです。

「恥をかく」は
日本人にとって強烈な感情といわれます。

だから、コピーに明示的には
書かれませんが
「恥をかきたくなければ」という強迫を
暗示させるコピーが多いのです。

ですから、
恥をかきたくないので
練習をしてでも字をうまくなる。

が逃げる動機に火をつけます。

表ベネフィットは
「得する」ことですから
わかりやすいでしょう。

それに対して
その裏に当たる
そのベネフィットを得るために
何から逃げたいのか考えてみましょう。

裏ベネフィットは
逃げるが主目的なので
方法もネガティブです。

苦しみから逃げるためなので
苦しみたくないからです。

では、苦しみとは何か?
というと、それは自分です。

自分であることから
逃げたいのです。

なぜなら、常に
逃げられない自分の中にいるからです。

もし字がうまくなったとしても
その次には「内容がなー」の
苦しみが待っています。

内容がよくなれば
「もっとピリッとした何かないかなー」
のアイデアの苦しみが待っています。

結局、
ステージごとに苦しみはあり
そこから逃げることはできません。

だからこそ、一時的であったとしても
「逃げたい」のです。

「逃げる」はとても後ろ向きな言葉です。

「もし、汚い字から逃げたいなら」
なんて書いてしまっては

逃げたい自分を
改めて見ることになってしまうので
読んだ人は自分を直視したくないので
逃げてしまいます。

しかし、表現を変えれば
一つ逃げることは
ひとつ問題をクリアして
次に進んだともいえます。

行動としてみると
前向きに進もうが
後ろ向きに進もうが
進むには変わりはありません。

進む方向が重要なのです。

コピーは表ベネフィットと
裏ベネフィットを意識することで
顧客にイヤでも動かなくてはならないように
訴えかけます。

なぜなら、
「次に進む」と
「(自分に)追われている」を
同時に働きかけることが出来るからです。

しかし、そのためには
顧客の現状の苦しみを理解することが
必要であり、重要です。

理解しようとすれば
他人の苦しみまで
背負ってしまうことになるでしょう。

自分ならまだしも
他人の苦しみなんて考えたくないのも
わかります。

苦しいことです。

しかし、コピーが顧客を
埋もれた雪から救うものと
思うのであれば

「買うと今だけお得」だけではなく

「この人は何に苦しんでいるのか?」
「この人はどんなことで
恥をかきたくないのか?」

を考えることが
重要なのではないでしょうか?

表ベネフィットと
裏ベネフィットのあるコピーを書いて
表ベネフィットだけの世界から
一足先に逃げましょう。

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