記憶と洗脳の仕組み~コピーライティングの基礎とは?(4)

「顧客に伝えたいことを
わかりやすく書けばいい」

コピーを書くとき、
そう思っていませんか?

しかし、残念ながら、
それは間違いです。

そのカギとなるのが記憶。

今回のテーマは記憶の仕組みです。

記憶の仕組みを知れば、
「そりゃ、そうだ」
とすぐわかります。

■40年も覚えている

今、55なので、
40年以上前のことです。

小学生のころ、
5、6年生ぐらいなので
11か12ぐらいだったと思います。

社会の授業でのことでした。

教室の真ん中に
クラスの生徒の机を集めて
大きな平台をつくり、

その上に教材の模型を置いて
先生が説明することがありました。

私は両手を机の端に
逆上がりの逆手のようにかけ、
手を支えにして少し前のめりになって
先生の話を聞いていました。

しばらくすると、
左手に何かが押し付けられている
と気づきました。

横を見ると同級生の女の子が
アレを左手の甲に押し付けるように
立っているのです。

その女の子はクラスでは
目立たない地味なタイプ。

常に後ろのほうにいて
人が何かしているのを見ています。

同じクラスとはいえ、
話したこともなかったし、
特に意識したことも
ありませんでした。

少しぽっちゃりしていて
丸顔でしたが、
顔色は色白というのを通り越して
少し血色が悪い顔をしています。

しかし、小学生高学年は
女子のほうが発育がいいものですが、
背丈はその時の私の10センチぐらいは
高かったです。

名前も覚えているのですが、
それは伏せておきます。

ここでは、仮名として
サトウさんとしましょう。

その時のサトウさんの格好は
シャツにジーパンでした。

サトウさんは背が高く
足が長かったので
そのジーパンの
ジッパーの下のほうの部分が

机を逆手に握った私の左手の甲に
グイグイ押し付けられます。

驚いてサトウさんの顔を見ると
こちらも見ませんし、

全く普通の顔をしていて
教材が見えるように
立っています。

私も子供心ながら

「ただ授業を見ているだけだ。
まあ、そのうち離れるだろう」

変な騒ぎにすると
私も恥ずかしいし、
お互い気まずいし、

クラスの他の連中にも
知られたくありません。

とにかく、
私も気づいていないふりを
することにしました。

ところが、ずっと押し付けたまま
一向に離れないのです。

私もサトウさんの体温に
慣れてきました。

「やっぱり押し付けているのかな?

でも、内向的で引っ込み思案の
サトウさんは
そんなことをする人でもないよな」

そしたら、
確かめたい気持ちが芽生えて
ちょっとしたイタズラを
したくなりました。

左手の中指の先を
人差し指と中指の第二関節に
挟むようにして輪っかを作り、
立ててみたのです。

そこまであからさまにしたら
さすがに逃げるだろうと思ったら
サトウさんはそのままにしていました。

今度は私が普通の顔をする番です。

教材を見るふりをして
ゆっくり前に体を倒したり、
元に戻ったりして、

中指の背がジッパーを
なぞるようにしました。

それでもサトウさんは
同じように押し付けてきます。

「絶対、わかってる」

その時、お互い視線も合わせませんし
無言だったのですが、
その反応で
同意が出来たと思いました。

同じように2、3回
それをしたところで
私の体に変化が起こってしまったので

「これはまずい」

と急きょ中止して、
手を引き抜こうとしたところ、

サトウさんは
もう少し楽しみたかったようです。

ジーパンと机の間に
ガッチリと左手を挟んで
なかなか抜けさせてくれません。

それでも
やっと抜いたところで
サトウさんは小さな声で言いました。

「ちょっと、触っただけでしょ」

もう何分も押し付けていたのに、
サトウさんは
不意に当たったかのような
言い訳したのです。

私の左手もそれまであった
サトウさんの体温がなくなって
急にスッと冷たくなりました。

私のことが好きだったのか、
それとも
手を欲しかっただけなのかは
今でもわかりません。

これは、40年も前の
たった15分間ほどの出来事です。

なのに、時々
なつかしく思い出します。

今思うと、その後

「話しかければ
よかったのかなー」

と思い出すたび後悔します。

「彼女に恥をかかせてしまったのかな」

とサトウさんの気持ちになると
少し裏切られた悲しさを感じて
泣きたくなります。

しかし、
半ズボンを履いた小学生の
当時の私には無理で、
その後も全然話しませんでした。

もちろん、サトウさんからも
話しかけてこないし、
そもそも近づいてきません。

いつも遠くにいます。

他のことはなんでも
忘れるたちなのに
このことについては
左手の感触さえも思い出せます。

文章に関しても
いつまでも記憶に引っかかって
何回も読んでしまうものと、

読んだことすら
忘れてしまう文章があります。

この違いは
記憶の仕組みの使い方の違いです。

■記憶の仕組み

記憶は脳の機能のひとつです。

ですから、
内臓としての脳が
関わります。

ですが、
あまりに専門的すぎると
眠たくなってしまうので
ざっくりお話しすると、

3段階を経て記憶は定着し
思い出すことができるようになります。
●入力(情報取得)
●整理保持(短期記憶->長期記憶)
●出力(想起)

●入力(情報取得)

まず最初は脳への情報の入力です。

目からの視覚による情報が
圧倒的に多いですが、
その他、音、におい、触感なども
情報として扱われます。

文字を読んだ場合は
そこから想像したイメージが
視覚情報となります。

またそれらに加えて
意図が大きく影響します。

覚えようとして
情報を受け取っているのか?

それとも、
意図せず情報を受け取っているのか?
です。

覚えようとしているとは、
勉強で暗記するなど、
いわば繰り返し訓練による
入力です。

それから、
コピーライティングの場合
重要なのが意図せず情報を
受け取っている状態です。

次回予定している話なのですが
実は「意図せず」といえど
本人にとって重要であることを
選んで受け取っています。

選ばれた情報は
感情を伴うイメージです。

●整理保持(短期記憶->長期記憶)

情報入力の後、
脳の一部分である海馬に
短期記憶(1分程度)を保存します。

海馬は短期記憶の置き場所なので
新しい情報が入ってくれば
前の情報がどんどん押し出され
忘れられていきます。

そして、睡眠中に
海馬に残った情報の中から
情動を伴った記憶を整理し
長期記憶の置き場所である
大脳皮質に転送されます。

長期記憶に送られたからといって
すべてを鮮明に覚えているわけでもなく
いつか忘れてしまうのですが、

短期記憶よりは記憶が定着しているので
関連することを考えたときに
「そういえば」という連想によって
呼び戻されたりします。

●出力(想起)

想起とは、記憶の中から
思い出すことです。

記憶は仕舞っておくだけで
思い出せなければ
記憶の機能とはなりません。

記憶を引き出すときには
パソコンのファイル名のように、
キーワードとなる
イメージから引き出します。

これらの3つ、
情報取得、整理保存、
そして、想起までが記憶です。

つまり、記憶の仕組みを考えれば
長期記憶にまで記憶を定着させ
それを引き出すことをしなければ
ならないのです。

■記憶とは感情反応の記憶である。

最初の話のように
あなたにも子供のころの
忘れられない思い出はありませんか?

思い出すと
今それが起こっているように感じ、
再体験するようなです。

夢よりリアルで
感情も同じようにぶり返し、
その時の感触や温度さえ
感じるのです。

そんな子供のころ思い出は
感情や身体反応を含んで
記憶されています。

ところで、
「パブロフの犬」
という有名な実験を知っていますか?

食事の前に
ベルを鳴らしてから
犬にエサを与えると、

次第にベルを鳴らすだけで
犬がよだれを垂らすようになる
条件反射の研究です。

しかし、実は条件反射とは
記憶操作の別名です。

記憶操作では
トリガー(きっかけ)と
アンカー(反応)を一組として
記憶から反応を再体験させることが
できます。

ですから、
パブログの犬の場合、
トリガーは「ベルの音」、
そのトリガーに対するアンカーは
「よだれを垂らす」になります。

それまで全く関係がなかった
ベルの音と食事の記憶を
関連付けることで

ベルの音
->「食事だ!」
->前の食事体験を思い出す
->食べているときの感情を思い出す
->食べているときの身体反応
(よだれが出る)をしてしまう。

のように記憶を引き出すことが
可能になったのです。

この実験によってパブロフは
身体反応の記憶を意図的に
作ることが出来ると証明したのです。

長期記憶の中から
思い出すときには、

グーグルで調べる時のように
検索キーワードのようなもの
(インデックスといいます)
から、関連することを
芋づる式に呼び出します。

つまり、インデックスとは
トリガーに相当します。

そして、芋づる式に呼びだされる
感情、身体反応を含んだ記憶本体が
アンカーです。

身体反応とは
感情への反応です。

例えば、
怒ると血圧が上がったり
動機が早くなったりします。

それは、
今起こっている現実だけではなく
思い出にも起こります。

なぜなら脳は一つのイメージしか
認識できないからです。

(詳細は前回記事「顧客を動かす3つのイメージの力とは?」参照)

ですから、何年も前のことを
思い出しては怒り、
その怒りの感情反応として
血圧上昇などが実際に起こるのです。

このトリガーとアンカーの原理を
使ったのが洗脳です。

例えば、トリガーとして
あるキーワードを聞くと

アンカーとして
どん底の恐怖を思い出し
体がガタガタ震え
気分が悪くなる記憶を埋め込み
操作します。

つまり、記憶とは
イメージ、感情、身体反応を
関連付けて長期記憶に
保管していることなのです。

■顧客に記憶させたいことを書く

最初の話に戻りましょう。

もし、コピーは

「顧客に伝えたいことを
わかりやすく書けばいい」

と思っていたのであれば
間違いです。

その理由は二つあります。

ひとつ目は、
わかりやすいだけの話なんて
短期記憶で捨てられてしまうため
忘れてしまうから。

ふたつ目は、
読者にとって興味あることしか
覚えませんので、

たとえ記憶として
長期記憶まで転送されたとしても
あなたの伝えたいこととは
違うことを覚えるかもしれません。

ですから、
記憶の機能の観点から
正解を言えば

「顧客に覚えて欲しいことを
感情に訴えるように書く」

ことが重要です。

「感情に訴えるとは
どういうこと?」

感情の変化を
エピソードやたとえ話を使って
説明することです。

テレビで不幸なエピソードを
見ていると次第に
「ああ、かわいそうだ。
気の毒だー」となりませんか?

その時、
あなたに起こっていることは

エピソードを聞いて
イメージしているうちに
感情と身体反応を伴う
同調です。

その感覚を思い出してみてください。

例えば、
ワードプレスプラグインの
アップデートにトラブルが起こり
「ただいまメンテナンス中です」と
メッセージが表示されたまま
動かなくなった対応策を
ブログで書きたいとします。

「顧客に伝えたいことを
わかりやすく書けばいい」なら、
現象、原因、対応策を順々に
書けばいいだけです。

確かにわかりやすいだろうし
その記事を見ながら
直すこともできるでしょう。

しかし、
それでは記憶に残りませんし
そのぐらいいくらでも他のサイトで
書かれています。

だから、記憶の仕組みを使います。

もし、
「顧客に覚えて欲しいことを
感情に訴えるように書く」なら、

もっとあなたのストーリーとして
説明する必要があります。

この時の
「覚えて欲しいこと」とは、
対応策ではなく、
「あなた」です。

つまり先ほどの
トリガーアンカーの
話で言えば、

●トリガー
(ワードプレストラブル)

●アンカー
(あなたのことを
感情と身体反応を持って
思い出してもらう)

を読者の記憶に
埋め込むことを目的として
記事を書きます。

感情変化を伴ったエピソードなら

1.最近adsenseの調子がよく
収入が上がってきた。
(楽しい、将来への期待、
平常心)

2.ある日何気なくプラグインを
アップデートしたらトラブル。
サイトが表示されない。
(悲しい、焦り、不安、落ち込み、
積み上げてきたものが崩れる恐怖)

3.いろいろなキーワードで検索。
(勇気、解決に向かって歩みだす)

4.原因、解決方法発見。
(うれしい、ワクワク、成長感)

5.他の困っている人のために
経緯をまとめノウハウ記事を書いた。
(共感、達成感)

ここでのポイントは
複数の感情を書くことです。

人間の感情は複雑です。

「悲しい」だけ、
「うれしい」だけなんてありえません。

ですから、例えば、
悲しい、焦り、不安、落ち込み、
積み上げてきたものが崩れる恐怖など
を複数の感情を組み合わせて書きます。

そうすれば、
とても文章がリアルになります。

なぜなら、読者も同じように
複雑な感情を持って生きているからです。

文学小説はこのテクニックのオンパレードです。

繊細な複数の感情を一場面にちりばめて
登場人物の心理を表現します。

だから読んでいると、
読み手も感情移入できるのです。

例では感情しか書いていませんが
体の反応を書けばもっとよくなります。

例えば、動かなくなった時、
鳥肌になったとか、熱が出たとか、
めまいがしたなどです。

このように
あなたが奮闘して解決したことを
感情を上下させながら
ストーリーを書き、
「おまけとして」解決策をつけます。

すると、「あの記事」
「あのサイト」、

もう少しマニアになると
「あの人」と
あなたを覚えてもらうことが
できます。

そうすると、どうなるか?

その人はワードプレスの
他のトラブル記事を読んだときに
「あの人、最近、何書いているかな」
と思い出すようになります。

「ウソだろ」と
思うかもしれませんが
これは実際、私も体験しました。

文章に困ると
「最近、あの人、
何書いているかなー」
と思い出して、

ブラウザの
「お気に入り」からたどって
その人のサイトを読みに行きます。

私の記憶の中に
トリガー(文章に悩んだら)
アンカー(あの人)
と埋め込まれているからです。

文章の書き方なんて
そこらじゅう星の数ほどブログがありますから
別にその人でなくてもいいはずですし、

私はトリガーアンカーの仕組みも知っています。

なのに、
「文章うまく書けないなー」と感じると
「あの人」と思い出してしまう。

それだけ強烈なトリガーアンカーが
記憶の中に埋め込まれているのです。

あなたは読者の「あの人」に
なりたいと思いませんか?

記憶の仕組みを使って文章を書けば
あなたは読者の特別な「あの人」に
なれます。

サトウさんが
私の特別な「あの人」であるように。

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「記憶と洗脳の仕組み~コピーライティングの基礎とは?(4)」への6件のフィードバック

  1. すごく勉強になります。
    なるほど・・・
    ただわかりやすい文章を書くだけじゃダメなんですね。
    相手に記憶に語りかけるような。
    そういう文章が大事なんですね。
    (解釈、間違ってたらごめんなさい。)
    すごく、引き込まれるように文章を読ませていただきました。
    勉強にもなりました。
    ありがとうございます。
    また読ませていただきます。
    応援もしておきました!

    1. コメントありがとうございます。
      浅葉です。

      >すごく、引き込まれるように文章を読ませていただきました。

      とてもうれしいです。
      ありがとうございます。

  2. 浅葉様

    先日はブログにコメントいただきありがとうございました。

    メルマガ書く時もブログ書く時もそうなんですが、
    ど~~~しても説明口調といいますか、
    野暮ったい文章になってしまうんですよね。

    でも、一生懸命説明したってどうせ覚えてないし
    それでつまらないやつだと思われるよりは
    相手の記憶に残るようストーリーで興味を引いて
    結論はスパッと言ってしまうべきだなと思いました。

    勉強になりました。

    ブログランキング応援クリックしました。
    ランキング1位すごいですね!

    僕も負けてられません^^

    1. コメントありがとうございます。
      浅葉です。

      会社を印象付けたい場合と
      個人を印象付けたい場合は
      狙いが違いますので
      調整の必要がありますが、

      記憶させるためのストーリーは
      とても強力ですね。

  3. 浅葉さん、こんにちは。けりぃです。
    すごいですね!
    覚えていただけるように書く。
    私もそんな風に感情や記憶に響くように書けるようになりたいと思いました。
    今回も勉強になりました。ありがとうございます!

    1. コメントありがとうございます。
      浅葉です。

      コンテンツマーケティングに
      少し疑問があり
      書いてみました。

      私だけではないと思いますが
      そういう書き方のほうが
      面白いし、
      思い出します。

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